たかしん アートワーク

詩魂の画家
山口 薫(1907~1968)

 山口は、明治40年群馬県箕郷町の旧家に11人兄弟の末子として生れ、高崎中学から東京美術学校へと進んだ。美校在学中、大正15年の第7回帝展、そして第8回、さらに協会展、国画会展と相次いで入選したが、美校の学生が在野の美術団体展に出品したということで、特待生の資格を取消されたというエピソードもある。

 昭和5年渡仏し、3年間在仏したが、帰国後、友人らと昭和9年「新時代展」、 さらに「自由美術協会」を結成し、この国の抽象芸術の先達として活躍。戦後は「モダンアート協会」の創設に参加するなど、具象から抽象にわたる表現を展開してきた。

 山口の芸術には、郷里榛名の自然で培れた清純な詩情・生活感情、さらに身近なものを形象化し、素朴で叙情的な表現が底流にうかがわれ、その画風は高い評価と巾広い支持を受けている。

昭和43年、東京芸術大学教授の現職で逝去。享年61歳。